人間関係に疲れたら、いったん人間から離れるのが正解
仕事を終えて職場を出ると、酸素濃度が高くなったように詰まりかけていた息が一気に通る。仕事の帰り道、徐々に自分を取り戻していく――疲れた。仕事の内容に疲れたというより、職場の人間関係に疲れた。
現代人の抱えるストレスのうち、最もありふれていて、最も厄介なものは「人間関係」と考えて間違いありません。統計データでも、職場の人間関係はもう何年もストレスの原因第1位に君臨し続けています。
あなたにとっても同じでしょうか?
人間関係が難しいワケ
この問題が厄介なのには明確な理由があります。それは、人間関係においては「他人の思考と行動」という自分にはコントロールできない要素の占める割合が極めて高いことです。
いくら自分が「この人には絶対に嫌われちゃいけない」と懸命に努力しても、実際に嫌うのは他人なのです。
「もしかしたら、あの人に嫌われているんじゃないか」と不安がっても、実際に嫌うのは他人なのです。
そこに関しては、自分には何の決定権もありません。努力が報われるとは限らない。だから厄介なのです。
万人ウケは狙わなくていい
でも、少し考えてみてください。そもそも万人に好かれる人などないし、そこを目指す必要もないのです。過度な完璧主義は自分を苦しめるだけです。
あなたの人生の目的は皆に好かれることですか?おそらく、そんなことが最終目標ではないはずです。
仕事上の人間関係でも同じこと
あなたが会社で営業を担当している場合には「顧客からどう思われるか」は確かにとても大切な要素です。営業なら、商品を売る前にまず自分自身を売ることが必要になりますから。
僕も10年あまり営業の経験があるのでそれはよく分かります。「第一印象が大切だ」「第一印象はドアを開けて3秒で決まる」「相手を気持ちよく喋らせろ」「ゴリ押しの提案になるな」「ポイントを押さえて堂々と提案をしろ」…いろんなことを教えられてきました。
顧客との人間関係
しかし実際は、営業担当者と顧客の関係であっても同じでやはり、万人に好かれる必要などないのです。
すべての顧客に同等に好かれることはまず無理でしょう。同じ接し方をしたとしても相手に価値観の個人差があるので、人により「抱く印象」は異なります。そこは自分ではコントロールできないのです。
いくら悩んでもコントロールできないことはあります。次の顧客に専念するためにも、そこは手放さなければなりません。
同僚との人間関係
ストレスがもっとも多いのは、同僚との人間関係でしょう。基本的に、顧客よりも接している時間が長いわけですから。
あなたが社内に苦手な人がいて、彼を避けているとします。すると、その本人と接している時はもちろんですが、それ以外の時間も「かかわりたくない」と思いながらずーっと嫌な気分で過ごすことになります。
苦手な相手のために、そんなに長時間嫌な気分で過ごすのは馬鹿らしくないですか?
無理に好きにならなくていい
1日は24時間しかなく、その3分の1を過ごすのが会社です。つまり、あなたが人生の3分の1を過ごす場所は会社です。そこではできる限り快適に過ごすべきだと思うのです。
「同じ会社の人間とは仲良くしなければ」という考えは要りません。同じ会社だからといって価値観まで一緒なわけじゃないのです。苦手な相手と無理にうまくやろうと思っても悩みが増えるだけです。
それならば、相手を好きになろうと頑張るのをやめてみる。「手放す」ことで呪縛が解けることはあります。
勝手に思い込まない
朝、自分からあいさつしたのに相手が返してくれなかった。それだけのことで「自分はあの人に嫌われているんじゃないか」と気にすることはありません。
相手が仲のいい人なら「忙しくて気づかなかったのかな」で済むのに、苦手な人の場合には「絶対嫌われているに違いない」と考えてしまう。
このように、単なる事実を悪い方に解釈するのは愚かなことです。
人間関係に疲れたら人から離れる
もしも今あなたが人間関係で疲れ切っているというのなら1日30分、一人でのんびりする時間を作るようにしてください。30分も時間がとれないのなら15分でもいいでしょう。
なにも「自分と対話する時間」にする必要はありません。そんなふうに高尚に考えるとハードルが上がってしまうだけ。
音楽をかけて寝転んでいても、本を読んでも、散歩でも半身浴でもストレッチでもOK。ただ、嫌なヤツのことを考え続けるのだけはやめてください。
PC・スマホ・タブレットなどのデジタルデバイスから自分を切り離し、意識的に「1人の時間」を作ってガス抜きをしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?人間関係に疲れたら、いったん人間から離れるのが正解です。それは、目が疲れたらいったんPCの画面を閉じるのと変わりません。
ちなみに、動物園の動物たちは日々「見られているストレス」が酷いらしく、ローテーションで人前に出ない日をつくるそうです。
あなたも人間関係のストレスがひどいときほど、意識的に「一人になる時間」を作ってください。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。