看護師の悩み解決専門カウンセラー 坂口千絵って誰だ?
「ストレスフリー@プロ論」のコーナー第1回目のゲストは、看護師の悩み解決専門カウンセラー坂口千絵さんです。
ライフコーチ/メンタルカウンセラー/医療・看護・福祉系ライター/コミュニケーションセミナー講師/雑誌・Webライター と数々の顔を持つ坂口さん。
実は彼女自身も、現役の看護師さんなのです。
それも看護師歴20年以上、看護新人教育歴17年の経歴を持つベテラン看護師。
そんな坂口さんのもとには
- 仕事が辛く、人間関係の悩みがつきない
- 失敗の連続で仕事を続けていくのが怖い
- 仕事は続けていきたいが、こんな自分には看護師を続けていく資格があるのか悩んでいる
といった悩みを抱く全国の看護師さんからのご相談が絶えません。
業務内容も多く、ストレスを抱えやすい業種のひとつである看護師という職業で長く働き続けるためには、 悩みを早期に解決し、ストレスを減らすことが大切です。
この記事では、現役看護師カウンセラーという稀有の存在である坂口さんの専門分野について聞いてきました。
Q1:看護師の悩み解決専門カウンセラーとはどのようなお仕事ですか?
電話・Skype・LINEなどの通信手段で、現役もしくは休職・育休中の看護師さんの仕事に関する悩みをお聴きしています。
私の看護師としての経験ももちろんですが、カウンセラー・コーチとして学んだ知識や技術、経験を総動員させ、アドバイスや質問、提案などを行っています。
カウンセリングには単発と継続のコースがあるのですが、継続コースの場合、基本的には毎回、問題解決能力を育てることを目的に、5分程度でできる課題に取り組んでもらっています。
そのことにより現状を変化させ、悩みを解決へと導くサポートをしています。
Q2:ナースフル・マイナビ看護師・看護roo!など看護師の転職サポートとは何がどう違うのですか?
転職サポートの会社はあくまでも「転職すること」を前提として、そのサポートを行っています。
私が行っているカウンセリングは「転職するかどうか迷っている看護師さん」をはじめ、「いまの職場で働き続けたいけれど、自信がもてない」という悩みを抱えている看護師さんの精神的なサポートも行っています。
肩書は「カウンセラー」を名乗っていますが、実際にはアドバイスもしますし、具体的に何をすればいいのかを提案するコンサルティング的な要素もあります。
「ご自身の気づき」を大切にするコーチング的な要素も兼ね備えていますので、総合的に心のサポートを行うという位置づけにあります。
Q3:実際の相談内容はどのようなものが多いのですか?(どんな人が利用に適していますか?)
新人看護師さんの悩み
これまで、看護師以外の職業をある程度、経験されてから一念発起して資格を取り、30代~50代で新人看護師として働く人のお申し込みが主でした。
徐々に、これまで看護師として働いていた人が転職をし、新人看護師になった30代~40代の看護師さん、あるいは、新卒の看護師さんからのお申し込みも増えてきています。
いろいろな人のお悩みを伺うと、新人看護師さんの悩みは、どの年代でも、そんなに大きな変わりはないと感じています。
新人看護師さんの悩みで多いのは、やはり先輩との人間関係に関するものです。
「とにかく先輩が怖くて委縮し、聞きたいことが聞けず、結果的に失敗をしてしまう」というご相談が圧倒的に多いです。
ほかにも「威圧的な態度を取られる」「とにかく、急かされるので焦りでパニックになってしまう」とか。
「看護師に向いていないんじゃない?」とか、「ほんとにやる気、あるの?」などの言葉を浴びせられることで、仕事を続けていく自信がなくなり、精神的にボロボロになってしまう新人看護師さんも多いですね。
また、「仕事で失敗が多い」という悩みも上位に入ります。
自分の不注意・思い込み・確認ミスによる失敗や、インシデント・アクシデントばかり起こす自分に疲れたという悩みもあります。
しかし、「失敗」に関する悩みが結局、どこにつながっていくのかというと、これもまた、「先輩から怒られることが怖い」などという、「先輩との人間関係」に行きつくので、「先輩との関係性」と「失敗」は切り離すことのできないテーマであるとも感じています。
性格や能力に関連する悩みとしては、「人の顔色を伺ってしまう」「自分に自信がもてない」「自己否定が強い」「人と比較してしまう」「人付き合いが下手」「要領が悪いので、仕事が遅く、スムーズに進めることができない」「自分が看護師に向いているのかがわからない」というのもかなり上位を占めています。
大別すると新人看護師さんの悩みは「先輩との人間関係」「業務を遂行する能力」「自分の性格・資質」の3本柱で構成されているといっても過言ではないと思います。
それ以外に多く相談が寄せられるのは「看護師の知識・技術」に関することです。
「勉強方法がわからない」「勉強や振り返りが追いつかない」「観察・アセスメントのポイントがわからない」といったところでしょうか。
「報告・連絡・相談の仕方やタイミングがわからない」というご相談もあります。
とくにこれまでまったく違う業種で働き、ある程度の年齢で資格を取った新人看護師さんは、「看護師の世界って、こんなところだったの?!」と驚き、戸惑いを隠せない人もたくさんいます。
やはり、そのような人は「自分がいま、働いている職場」がすべての判断基準にどうしてもなってしまうので、ほかとの区別がつかずに、転職や退職を思い悩むという場合もあります。
また、さまざまな悩みが交錯し、急激に「やる気がなくなった」「仕事に行きたくない」という状態に陥り、休職や退職に至るケースも少なくはありません。
2年目以上の看護師さんの悩み
2年目以上の看護師さんの悩みで多いのは「もう○年も経つのに、△△ができない」というご相談です。
具体的な例を挙げると、2年目になるのに、報連相が上手にできない。リーダー業務を任せてもらえない。
3年目になるのに、判断ができない、業務の抜けが多い。というような、「自分の在りたい姿と現実の自分に対してのギャップ」に悩む人が増えています。
性格・能力についての悩みも新人看護師さんと同様で「ネガティブから抜け出すことができない」「物事を悲観的に見るクセがある」「自分をすぐに責めてしまう」「すぐに落ち込むし、立ち直れない」「劣等感や罪悪感がある」「被害妄想が強い」など、多種多様です。
もちろん、「人間関係がうまくいかない」という悩みも上位に入っています。
「どうしても苦手な人がいる」「人とどう接していいのかわからない」など。
また、看護師さんの傾向としては「完璧主義」で物事がうまくいかなくなっている人がとても多いと感じています。
転職に関する悩みもあります。
転職後、前の病院とのギャップに悩んだり、転職するべきかしないべきかということに関しては、やはりある程度の経験年数を積むと、多くの人が一度は考えるテーマなのだとも思います。
「転職をしても、いまの自分のままでは、同じことを繰り返してしまうのではないか」「このままいまの職場で働くべきか、転職するべきかでずっと揺れている」というケースもあります。
また、ある程度、仕事ができる時期に入った看護師さんの場合ですと、「子育てと仕事の両立」、「看護師としての働き方」についてのご相談もあります。
例えば、「今後、大学に進学をするべきか、いまの職場で働き続けるか」といった「キャリアアップ」に関する悩みも見受けられます。
そして、仕事と家庭の両立については、「やることが多すぎて、何から手をつけたらいいのかわからない」というご相談も少なくはありません。
休職・育休中の看護師の悩み
やはり、諸事情で休職中の人の悩みで一番多いのは「職場復帰したらうまくやっていけるだろうか」というものですね。
前の職場の苦い経験から足踏みをしているケースです。
どんな人が利用に適していますか?
少なくとも現段階で、私自身が対応できなかった悩みはありませんので、たいていの悩みに関しては、何らかの対応策をお伝えすることはできます。
しかし、大切なのは「悩みの内容」というよりも、クライアントさんの物事に対する取り組み方が、大きく結果を左右すると感じます。
こちらの提案に対し、「できません」「わかりません」「どうしたらいいですか」という返答を何度も繰り返す場合。
あるいは、「どうせ自分は何をやってもダメなんだ…」と諦めてしまう人や急激な変化を求める人の場合、正直、解決は難しいか、遠回りになるのは否めないなと感じます。
とくに、後者の場合、私が強制的に何かをさせるということはしませんし、本人の自律性を非常に重視していますので、そういった意味では、カウンセリングを行う側にも限界があるなとは思います。
幸い、私のところにお申し込みをされるクライアントさんにはいませんが、「他人のせいにしかしない」あるいは相談に対して過剰な期待をもっている人も、正直、難しいのではないかなと。
最初は、そのような状態であったとしても、その後にご自身で「すべては自己責任」ということに気づくなら話は別ですが。
逆にいうと、コツコツと地道に課題を積み重ね、ご自身をじっくりと見つめる作業ができる人は、その場しのぎの解決ではなく、継続することで気づきの力が強化されていきます。
その過程で「問題解決能力」も自然と身についていく傾向にあるなとは感じています。
Q4:このお仕事をやっていて良かったなと思うのはどんなときですか?
看護師という職業は、どのように表現したらいいのか難しい部分がありますが、独特の世界があると感じています。
職場の勤務体制や教育体制も、ちょっと他の職種とは違うなという部分があったり…。
私は「新人」「中堅」の時代だけでなく、新人教育担当としての管理職的な立ち位置など、さまざまな役割を経験していますし、転職・休職の経験もあります。
とくに、私は新人時代、とにかく周りから「できない新人」あるいは、転職後も「不安要素が強い看護師」として見られていた苦い経験もあり、非常につらい毎日を送っていたのですが、その経験がカウンセリングにすごく役立っています。
また、その一方で新人教育の責任者として管理をしていた経験もあるので、教育者の目線でも、ご相談者の看護師さんの悩みを捉えることができます。
看護師としての経験をカウンセリングにフルに生かせるので、そういった意味では、とても良い看護師経験をしたと思っています。
ですから、どのステージにいる看護師さんの立場や悩みも、ある程度はすぐに理解でき、スムーズに話を進めることができると感じています。
心の悩みもそうですが、点滴管理や尿留置カテーテルの管理などの非常に細かい部分の看護業務や、スムーズに仕事を進めていくためのポイント。
インシデント・アクシデントの振り返りと対策、新人教育の方法、患者さんやスタッフとのコミュニケーションの方法など、「看護師にしかわからない悩み」を共有できることをとても嬉しく思っていますし、それは他のカウンセラーさんにはない私自身の強みでもあると自負しています。
何より、この仕事をやっていてよかったなと思うのは、私自身が持っている能力やカウンセリング、コーチングの知識・技術、そして看護師としての経験を融合させたものを、フル活用し、同じ仲間である看護師さんに還元していけるということ。
そのことによってクライアントさんの悩みが一発で解消されたり、今後、どうしていけばいいのかという具体策がわかったりすることで喜びの声をいただけたときには、「この仕事を選んで正解だった」としみじみ実感します。
これまで、長い間、人に相談をするかしないかで迷っていた人が、「本当に、相談をしてよかった!」と喜んでくださることも、とても嬉しいですね。
「とにかく話しやすい」「面白い」「親近感がある」「型にはまっていない」「友達と話しているみたい」と、気軽にご相談してもらえることも嬉しいです。
また、クライアントさん自身が、私がカウンセリングで話した内容を実践へと生かし、前向きに進むことができるようになる過程を、クライアントさんからの定期的なご報告によって知ることができるのも楽しみのひとつです。
最近は、新規のクライアントさんだけでなく、契約期間終了後も、心の状態を保ったり、軌道修正を図るなどの自己管理を目的として、お申し込みいただけるリピーターさんが非常に増えています。
私が行うセッションに信頼を置いてくださっていることの証なのかな?と思い、非常に嬉しくなります。
Q5:坂口さんにコンタクトを取るにはどうすればいですか?
私が運営しているカウンセリングのサイトがあるのですが、「お申し込み・お問い合わせ」の項目からコンタクトは可能です。
また、ブログも運営しており、記事の最後尾に毎回、メルマガの登録項目を表示しているのですが、メルマガをご購読していただけると、そのメルマガに返信するだけで、私に直接、メッセージが届くようになっています。
【ブログ】
>>看護師を辞めたいほど仕事がつらいあなた専用のお悩み相談室
【メルマガ】
>>2年目以上の看護師さん専用「仕事の悩みを解決する方法」
>>これだけは覚えておきたいプリセプターのための看護教育7つの心得
>>仕事がつらい新人看護師さんの悩みがすっと楽になる方法
>>これだけは知っておきたい『新人看護師さんの7つの心得』
【フェイスブック】からも、メッセージをいただくことは可能です。
Q6:最後にメッセージをお願いします
とくに看護師さんの傾向として、自分のことは自分で解決しないと…という思いから、一人で悩みを抱えてしまう人が非常に多いなと感じます。
また、「自己否定」のクセが非常に強く、「偏った物の見方」をしているがゆえに、さらに問題がこじれて悪循環のループに自らはまってしまい、心身ともに疲弊しているのも特徴です。
かの有名なアインシュタインの言葉に「いかなる問題も、それを作りだした時と同じ意識レベルで解決することはできない」というものがあります。
そもそも悩みや問題というのは、本人にとって「解決することができないと感じている」から生まれているわけですから、そのままの思考パターンを続ける時期が長ければ長いほど、悩みや問題が自分のなかで大きくなるのです。
私もこれまで、たくさんの看護師さんの悩みをお伺いして、「こんなアドバイスや提案、説明程度で、本当に何か変化が起こるのかな…?」と、自分に自信がなかった時期もありました。
しかし、「これまで、そんな視点では考えたこともありませんでした」「目からウロコの考え方に毎回、驚かされていました」という喜びのお言葉をいただけることが非常に多く、自分でも驚いています。
やはり、クライアントさんに新しい考え方を提供し、「思い込みの箱の中にいる自分」から「箱の外に出る自分」を体感してもらうことで、「意識レベルの変化」を引き起こすことは重要なことなのだなと実感します。
もちろん、クライアントさんの、その後の実践→修正→実践…の繰り返しがあってこその変化なのですが。
一度、箱から出て、問題がクリアできても、また別の問題が起きたときに箱の中に入ってしまう場合もあります。
そんなときは、私からのメールフォローで、軌道修正を図れるところが、継続カウンセリングの醍醐味だとも感じています。
いろいろな悩みの解決法や考え方については、本やネットでもたくさんの情報があるのですが、やはり、「なるほどー」「ふーん」で終わってしまうことって多いと思います。
「真剣に悩んでいて、たくさん本も読んだし、ネットでも解決方法を探した。でも、実際には何も変わっていないじゃない。私」みたいな感じで。
やはり変わるためには、「なるほどー」「ふーん」のレベルから、いかに行動に落とし込んで継続をしていくか。というところは必要不可欠なので、簡単にできて継続しやすい課題を提案できるようには努めています。
「こんなことなら、もっと早く相談しておけばよかったです」「ずっと迷っていたけれど、勇気を出してよかった」など、たくさんのご感想をいただけるたびに、もっと多くの看護師さんの心に寄り添い、いきいきと働くことができるサポートができればいいなと痛感しています。
悩みや問題に翻弄され、つらく、苦しい思いを抱えて続けることは、自分にとって本当に大切なものを見失ってしまいます。
一人でも多くの看護師さんが、いまのつらさや苦しみから脱することができることを、切に願っています。
まとめ
これまで編集部あてに直接看護師さんからご連絡・リクエストをいただくことが多く、 今回インタビュー形式で坂口さんをご紹介させていただきました。
時期により相談が集中することもあるそうですが、今回の記事で気になった方は まずは一度コンタクトをとってみられてはいかがでしょうか。
この記事があなたの現状打破のきっかけになれたらこんなにうれしいことはありません。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願っています。