保育園に子どもが入れないとママは働けない! #taikijidou0challenge

待機児童ゼロチャレンジ

2015年(平成27年)4月に「子ども・子育て支援新制度」がスタートしています。これは、内閣府、文部科学省、厚生労働省が横のつながりを持って取り組んでいる少子化対策の一環です。

政府はこの新制度に先立って「新待機児童ゼロ作戦」(平成20年2月策定)を展開しています。

それに伴って「待機児童数ゼロ」を達成し、名乗りを上げる自治体がいくつか出てきました。

しかし、「待機児童数ゼロ」を掲げつつも、現実には子どもが保育園に入れないために、働けないでいる保護者がたくさんいます。この大きなギャップは、いったいどういうことなのでしょう。

参考:厚生労働省 政策レポート
参考内閣府 子ども・子育て支援新制度の概要

この記事では「待機児童数」のカラクリと、「子ども・子育て支援新制度」を最大限に活用する方法について詳しくお伝えします。

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保育園に入れない子どもの大半が「待機児童」から除外されている理由

隠れ待機児童

「待機児童数ゼロ」なのに、実際には保育園に入れない子ども達がたくさんいます。

この「待機児童数」は、厚生労働省が1995年から調査集計を始めたものです。ところが厚生労働省は、年々増加の一途をたどる「待機児童数」の定義を、2001年の調査から変更したのです。

主な変更内容は、それまで「待機児童数」に含めていた次の要件を除外した点です。

  1. 入園可能な保育園があるにもかかわらず、第一希望の保育園に入るために待機している児童
  2. 地方単独の保育事業を利用しながら待機している児童

自治体が「30分以内」は通園可能として「入園可」の判断をする基準がありますが、職場が自宅をはさんで保育園と反対方向にある場合は、自宅から保育園の送迎だけで片道1時間かかってしまいます。そこから更に反対方向の職場への通勤時間がかかります。実際には片道1時間半~2時間以上かかってしまうわけです。

しかし、自宅と保育園の移動時間を一律「30分」のみで判断するため、実際の事情は考慮されません。

このような現実的な判断をせずに「入れる保育園があるのに自己都合で断る」という理由で「待機児童」から除外した形になるわけですね。

無認可保育園

更に、「定義」の変更と同時に、それまでは「認可外保育園」とされていた4つの施設を「認可保育園」に含める変更をしました。

これにより、園庭がなくて認可されなかった保育園や小規模保育所などが、一定の基準を満たすと「認可保育園」とみなされるようになりました。

もともと「認可保育園」と「認定こども園」の2つしかなかった「認可保育園」が一気に6種類に増えたわけです。

子どもを「園庭のある保育園で、のびのび運動させたい」と考える保護者が、自治体がすすめる園庭のない認可保育園を断ると、「待機児童」から除外されてしまいます。

しかも、一度入園を辞退した履歴は、ずっと付いて回ります。

そして、2015年から「自治体の判断で待機児童から除外できる要件」が明記されました。その結果、それまでは待機児童の対象となっていた、子どもを在宅で保育しながら「インターネットで求職活動を行う」場合を、除外する自治体が続出しました。

この数字のカラクリについて、2015年に朝日新聞が「隠れ待機児童」の記事を報道しています。

認可保育園に入園の申請を行った数から、実際に入園できた数と「待機児童数」を引いた数を「隠れ待機児童数」として集計したのです。

この中には、保育園に入れなかったために、やむなく育児休暇を延長して求職活動を続けているケースが多数含まれています。

「保育園に入れないから働けない」(復職できない)という事実が先にあるのに、育児休暇を取っていることを理由に「待機児童」から除外されているのです。

参考:朝日新聞2015年8月3日

保育園に入れない子どもと働けない保護者を減らす―横浜市独自の価値ある取り組み

横浜市の取り組み

神奈川県横浜市は、「子ども・子育て支援新制度」がスタートする前年の平成25年には、認可保育園に入れない「待機児童数」が「ゼロ」でした。

新制度がスタートした平成26年は「20」人、1年経過した平成27年は「8」人で12人解消されています。

しかし、横浜市は独自に「保留児童数」をカウントしており、政府の方針に反映されていない「認可保育園に入れない子ども」の実態を細かく把握しています。

いわゆる「隠れ待機児童数」である「保留児童数」が平成27年4月現在では「2534」人にものぼっており、ここが「真の課題」ととらえて、積極的に改善に取り組んでいます。

横浜市の待機児童1
横浜市の待機児童2
横浜市の待機児童3
出典:横浜市 平成27年4月1日現在の保育所等利用待機児童数について

横浜市の平成26年度の取り組みは以下の内容でした。

  1. 認可保育所等の整備・拡充
  2. 低年齢児対策
  3. 幼稚園預かり保育の拡充
  4. 川崎市との待機児童に関する連携協定の締結
  5. 保育コンシェルジュによる相談支援
    (H27年度に保育・教育コンシェルジュに名称変更)
  6. 保育士の確保

ここで注目したいのは、「4.川崎市との待機児童に関する連携協定の締結」です。

新制度にも、居住地と職場が市町村をまたぐ「広域利用」がありますが、利用料金を居住地の保育園の料金とするというものです。

自宅と職場が異なる自治体の場合、職場に近い保育園を利用したいと希望する保護者が多いという実情があり、個別の越境入園よりも「連携協定」でスムーズな入園が可能になるでしょう。

更に、下図のように、同じ横浜市内でも地域によって「定員外入所」(増員)と「定員割れ」の格差が存在することにも注目しており、あらゆる可能性にアプローチしています。

横浜市1
横浜市2
出典:横浜市 平成27年4月1日現在の保育所等利用待機児童数について

このように、子どもが保育園に入れなくて働けないでいる保護者の実態に応じて、地域の特性を生かしたきめ細かな工夫が、全国に広がってくれることを願っています。


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子どもが保育園に入れなくて働けない保護者の「保活」事情

保育園探し

子どもを保育園に入れる場合には、次のような流れで手続きを行います。

  1. 保育を必要とする事由に該当するかどうかを確認する
  2. どの認定区分になるのかを知る
  3. 利用手続きをする

以下、順番に見ていきましょう。

1.保育を必要とする事由に該当するかどうかを確認する

保育を必要とする事由1
保育を必要とする事由2
保育を必要とする事由3
出典:内閣府 子ども・子育て支援利用「なるほどBOOK」

「就業」に関しては、各市町村で基準が異なるので確認が必要です。

在職中

「就労証明書」(在職証明書)が必要ですが、内定の段階では「内定証明書」が有効な場合があります。

内職や自営業など

労働時間や業務内容等に関する証明が必要となります。

祖父母の同居

「祖父母が保育できない」理由の証明が必要になります。市町村によって、祖父母が高齢で保育できないと判断する年齢は65~75歳と幅があります。

祖父母が働いている場合には、祖父母の「就労証明書」も必要です。介護等で保育ができない場合も、その証明が必要となります。

片親の核家族

原則的に優遇されることになっています。そのため、偽装離婚をして別居をする人までいます。単身赴任については、優遇されないところもあります。

求職中

「求職中」が事由として認められた場合でも、保育園の利用期間が数ヵ月に限定されることが多く、その間に就職できなければ退園しなくてはなりません。とても不利な状況と言えます。

2.どの認定区分になるのかを知る

1号認定、2号認定、3号認定、認定不要の4つに区分されます。3~5歳児は1・2号認定、0~2歳児は3号認定と認定不要とに分かれます。

認定区分
出典: 内閣府「すくすくジャパン」認定について

3.利用手続きをする

3号認定の場合は、子どもが3歳になる前に再認定を受けて、新しい認定証での入園手続きが必要です。

利用手続き
出典:内閣府「すくすくジャパン」施設などの利用について

入園申し込みや選考の時期は、おおむね下図のようになっています。

入園までの流れ
出典:内閣府「保育の必要性の認定について」

市町村によって、保育園の募集開始時期が異なります。4月の入園を逃すと、途中入園は空きがなければ入れませんし、少ない空きの競争率が高いので、かなり難しくなるでしょう。

しかし、4月以外の途中入園は随時受け付けています。難しいといっても可能性はゼロではないので、希望する保育園の状況を確認して申し込みするのもひとつの方法です。

保育園の見学

また、保育園に入ってみてから「やっぱり合わないようだわ」と思って退園すると、なかなか他の保育園に途中入園することは難しくなるでしょう。

事前の見学はもちろんですが、先に保育園に通っている人の話を聞いてみこともよいでしょう。

保活」は、「子どもを保育園に入れるための活動」です。実際に入園が必要になってからでは遅いといわれています。

妊娠前から「保育園事情」をリサーチして、場合によっては事前に引っ越すケースもあるほどです。あなたの準備は、大丈夫ですか?

参考:MARCH:「知らないと損!認可保育園の入園条件を知って保活を成功させよう」
参考:MARCH:「働きたいのに働けないママへ」保育園入園のコツと申請準備
参考:時事ドッドコム 42歳母たちの「保活」

保育園の選考基準-ポイント制

選考基準

保育園に「利用申し込み」を行うと、市町村が利用調整を行い優先順位が決められます。多くの市町村がポイント制で選考を行っています。

この選考基準は、市町村ごとに設けられている利用調整基準指数(基本・基礎指数)と付加指数(調整指数)を合計したポイントによって、客観的に判断される仕組みになっています。

これらのポイントは、市町村によって独自に設定されているため、どのような条件が有利で加点されるのかは違っています。インターネット上で公表している市町村もあるので、チェックしてみるとよいですね。

ここで、市町村による違いを「就労」状況について、八王子市川口市を比べてみましょう。

基礎指数

八王子市1
出典:八王子市

川口市1
出典:川口市

付加指数

また、片親の核家族に対する「付加指数」については次のようになっています。

八王子市2
出典:八王子市

川口市2
出典:川口市

このような市町村による保育園の選考基準の違いを十分理解して、その内容に合った計画を立てることが大切です。

保育園に入れたのに、新たな問題「3歳の壁」で働けない?

3歳の壁

小規模保育や家庭的保育施設は3歳未満の子どもの保育が対象なので、4月からは別の保育園の3歳児クラスに転園しなければなりません。

小規模保育や家庭的保育施設が認可施設の場合は、1~2歳での転園希望には利用調整指数の加点がなく、転園は不利になるといわれています。

新制度では、認可保育園や認定こども園との「連携施設」の協定を進めていますが、まだ猶予期間でもあり、連携は進んでいないのが現状です。そうすると、待機児童として振り出しに戻ってしまうことが考えられます。

認可外の保育施設に一定期間在籍していると、一般的には認可外在籍の加点が付くので、認可施設からの転園よりは、有利になるといわれています。(市町村によって異なります)

ここで転園に失敗してしまうと、3歳からの預け先がなくなって働けない可能性が出てきます。

応急措置として、幼稚園の「預かり保育」の利用と、これまでの保育施設での「継続保育」があります。

しかし、「預かり保育」では、預かってもらえる時間と就業時間とが折り合えば利用は可能ですが、そうでない場合の利用は難しいでしょう。

「継続保育」も、特例として認めてもらえるかどうかは、施設の事情やその時の状況によって変わります。

いずれの場合も、自治体によって対応が違いますので、ご利用の保育施設や保育園の現状を確認してください。

参考:日経DUAL 3歳児が行き場を失う「3歳の壁」保活最新事情

まとめ

待機児童のママ

子どもを保育園に預けなければ、就職活動が十分に行えません。

ところが、子どもを保育園に入れるには、先に「仕事」ありきが現状です。

これは、確かに矛盾する事実ですが、働く保護者の権利を平等に守るためには、今はまだ便宜上必要な基準なのかもしれません。

新制度がスタートしてようやく1年を迎えようとしています。

「保育園に入れない」「働けない」という現実はありますが、ここで様々な問題が見えてきたことは、今後の制度改革に向けて一歩前進したといえるでしょう。

今できることをしっかりとやりながら、現実に即した制度が整備されることを期待しています。

なお、今回の記事は双子のパパYuichiさんの呼びかけによる「待機児童ゼロチャレンジ #taikijidou0challenge」に協賛しています。

あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。

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