卵の食べ過ぎだけで人は病気にならないけど1日3個が上限な理由
卵かけご飯(TKG)が一時、大ブームとなった時期がありましたよね。私も卵かけご飯を食べているときは「生きていてよかった…」と思うほどの卵好きです。
卵は食べやすいので、ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、「卵は1日2個以上食べてはいけない」という説もチラホラ。
実際は1日何個までなら食べても問題ないのでしょうか?
1.卵の食べ過ぎって1日何個以上のことなの?
結論からいうと、卵の1日の摂取量に個数の制限はとくにありません。
卵はもともと、「完全栄養食」とよばれているほど栄養価が高く、私たちの体になくてはならないビタミン・ミネラル類を豊富に含み、さらに良質な20種類ものアミノ酸をベストバランスで含んでいます。
しかし、どんな食べ物であっても、食べ過ぎれば栄養のバランスに偏りが生じることを考えると、ある程度の量で抑えておく必要はあるでしょう。
目安として、当編集部では1日3個までとお伝えしておきます(その根拠は後述します)。
2.「卵の食べ過ぎは体に毒」という都市伝説が生まれた背景
「卵の食べ過ぎは体に毒」という通説をあなたも聞いたことがあるでしょう。実は、この都市伝説には卵に含まれる「コレステロール」が関係しているようです。
1913年にロシアでウサギに卵を食べさせる実験を行ったところ、動脈硬化や血中コレステロールの増加が認められたことから「卵のコレステロールは動脈硬化との因果関係がある」という結論に至ったことがその始まりだといわれています。
しかし、動物性食品の卵を草食動物のウサギに与えれば、血中コレステロール値が上がるのは当然のことで、そもそも実験の前提自体が間違っています。
その後、実験をおこなったロシアの機関が間違いを認める発表をしたのですが、なぜかそれは話題に上らず今日に至ります。
ちなみに「卵の過剰摂取で人間のコレステロール値が上がった」とする実験結果は存在しないそうです。
しかし、どうやら100年以上前のこの実験をきっかけに、「卵を食べ過ぎるとコレステロール値が高くなる」という誤った認識が研究者・医師の間で浸透し、やがて世間に広まるようになったようです。
3.卵の食べ過ぎと生活習慣病の因果関係はほとんどなかった?!
コレステロールときくと、生活習慣病の原因となる動脈硬化や脳梗塞などの発症リスクがあるのではないかと思われがちですが、私たちの体には、コレステロールを調節する機能が備わっています。
また、人間の血中コレステロールはその70%以上が肝臓で生成されるため、食材に含まれるコレステロールがダイレクトに血中コレステロール値に反映されたりはしません。むしろその割合は低いといえます。
つまり、コレステロールの高い食品を少しくらい摂り過ぎたとしても、一気にコレステロール値が悪くなるということはまずないのです。
それどころか、卵は健康を促進する善玉コレステロールを体内に増加させ、さまざまな病気の原因になる悪玉コレステロールを減らす作用のあるオレイン酸やレシチンを含んでおり、むしろ私たちの健康に役立つ食品であるといえます。
レシチンとは
自然界の動植物においてすべての細胞中に存在しており、生体膜の主要構成成分である。レシチンの不足は、疲労、免疫力低下、不眠、動脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着など多くの症状の原因となる。
(出典:Wikipedia)
ですから、卵を1日2〜3個食べるくらいでコレステロールが高いとしたら、原因は他の食生活にあるかもしれませんよ?
血中コレステロールには青魚に含まれるDHAが良いそうですが、お寿司くらいでしか魚を食べないという方が増えてますもんね。。
卵だけでなく、ラーメン屋カツ丼などこってりしたものが大好き!でもコレステロールが気になる…という場合は、こちらの記事をどうぞ。
4.「卵の食べ過ぎは体に毒」とする根拠は実はどこにもない
前述の100年以上前に「ウサギ」を対象におこなわれたロシアの実験に対し、1981年に日本で発表された研究データは、「健康な成人が、1日10個の卵を5日間食べ続けても血中コレステロール値の変動がほとんどない」というものでした。
さらにその後の研究で、普段の食事以外に1日3個の卵を2週間食べ続けた場合にもコレステロール値にはほとんど変化がみられませんでした。(出典:日本卵業協会)
つまり、卵の食べ過ぎと心筋梗塞の発症リスク・コレステロール値との間には何ら因果関係がないことが科学的にも証明されていることになります。
ちなみに、卵1個当たりのコレステロールは約235mgです。
厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると
目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、コレステロール目標量の算定は控えた。
とあり、コレステロール摂取量の目標量として30歳以上の男性は1日750mg、女性は同600mgを上限と定めていた5年前の基準と比べて大幅な修正(目標値の算定せず)となっています。
これは、
2015年以降、厚生労働省によるコレステロール摂取量の基準値は撤廃されていることを意味します。
5.卵は「1日3個まで」とする根拠はコレステロールではなくカロリー
当編集部が「卵を1日3個まで」とする理由がこれです。
卵がいかに良質のアミノ酸、ビタミン・ミネラル類が豊富に含まれている完全栄養食で、コレステロールの心配がない食品だとしても、やはり食べ過ぎはいけません。
卵1個=約100kcal。
コンビニの梅おにぎり1個が154kcalです。
ちなみに、100kcalをコンビニで売っているお菓子で置き換えるとこうなります。
- ポテトチップスうす塩13枚
- じゃがりこサラダ14本
- ロッテクランキーチョコ2列と1かけ
- OREO1.9枚
- ポッキー10本
- プリッツ1/2袋
- きのこの山7個
- ロッテパイの実4個
- ハイチュウストロベリー5粒
- カントリーマアム2枚
- ミルキー7粒
- キャラメルコーン1/5袋
そしておどろくことに、100kcalで野菜リゾットやエビの中華炒めまでできるんですね。
ちなみに卵3個のカロリーだと300kcalでこれらのメニューとほぼ同じです。1日3個ならギリギリ許容範囲ではないでしょうか?
6.卵の食べ過ぎで病気やアレルギーになる?
そのほか、卵の食べ過ぎで心配されることにアレルギーや病気があります。
AKB48の高橋みなみさんは23歳で、B’zの稲葉浩志さんは40歳を過ぎてから卵アレルギーが判明しています。子供の頃は平気でも、あるタイミングでそうなるモノなんですね。
さて、結論からいうと、卵アレルギー体質の人は摂取量に関係なくアレルギーになります。
アレルギー体質の人が発症するのは量や加熱の有無には関係がありません。ただ、アレルギーのない人であっても、病気や過労などで免疫力の低下した時期には食べ過ぎないように気をつけたほうが良いようです。
また、1日3個以上を食べ過ぎとした場合、卵の食べ過ぎが心臓病や脳卒中のリスクを上昇させる可能性は否定できません。糖尿病のリスクも高まります。
しかしその一方でまったく食べないと、コレステロールが不足し脳内物質セロトニン不足を招きます。その結果、アルツハイマーやうつを招きやすくなるため注意が必要です。コレステロールには脳を若く保つという働きがあるんですね。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございます。
卵はカフェインと並んで、その摂取量・効果効能に関して賛否両論の別れる食品です。
卵で気をつけなければならないことは2つです。
- まったく摂取しないこと
- 過剰摂取すること
要するに「極端は避けましょう」ということですね。
ですので、卵は「1日3個まで」を目安としてください。ただし、糖質制限の必要な方、高脂血症・動脈硬化症などの方は、医師にご相談くださいね。
吹き出物や肌荒れと卵の食べ過ぎの関係が心配な場合には、こちらをあわせてお読みください。
あまり神経質になり過ぎず、好きなものを適量食べる。
ただし一つの食品に偏るのではなく、好きな卵を食べたら、それでは不足するビタミンCを野菜から摂る。そういうバランス感覚は必要です。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。