あなたの血圧が高い原因は塩分だけじゃなくあと9個ある事実
日本人の40歳以上の2人に1人が高血圧だといわれています。その数、実に3000万人以上です。そして、その90%以上は、はっきりとした原因がよくわからない本態性高血圧の人たちです。
本態性高血圧は、一次性高血圧とも呼ばれます。とりあえず飲み薬で治療しますが、少なくとも生活習慣と遺伝的な要因が関係していることまではわかっています。
近年では、特に病気ではない腎臓が何らかの影響を与えている可能性について、動物実験で解明されてきました。
これに対して、二次性高血圧はちゃんとした病気が原因で起こります。腎臓病や、副腎・甲状腺の病気によるホルモン異常が原因です。これらの原因疾患を治療すると、高血圧も自動的に治ります。
ここでは、明らかな病気以外の原因についてみていきましょう。
病気じゃないのに血圧が高い!本態性高血圧の10の原因
血圧が高くなるメカニズムは、「心拍出量の増加」と「血管抵抗性」です。
心拍出量は心臓が収縮して一度に送り出す血液量のことです。血液の量が増えて心拍数が増加し心臓の収縮力が強くなっている状態です。
血管抵抗性は、動脈硬化や老化などで血管の弾力性が少なくなることと、血液がドロドロでスムーズに流れない状態です。
持って生まれた遺伝的な素質は、自分ではどうしようもありません。しかし、遺伝的要因のあるなしにかかわらず、健康的な生活習慣を身につけることは、高血圧の予防と改善に大きな効果を発揮します。
高血圧の進行と慢性化にブレーキをかけるためのチェック項目は次の10コです。
- 塩分の摂りすぎ
- 加齢による血管の老化
- ストレスや過労
- 睡眠不足
- 肥満
- 喫煙
- 運動不足
- お酒の飲み過ぎ
- 便秘
- 夕食を食べてすぐに寝る習慣
1.塩分の摂りすぎ
どうして塩分の摂りすぎが血圧を上げるのでしょう。塩分を摂りすぎると、ヒトのからだは濃すぎる塩分濃度を薄めるために、水を溜めこみます。そうして血液の量を増やすと血圧が高くなります。
血圧が高くなると、腎臓から効率的に塩分を排出することができるようになります。余分な塩分を排出するために、からだは高い血圧を維持しなくてはならなくなります。
2.加齢による血管の老化
誰しも歳を取ると老化します。血管が老化すると、弾力性が失われてきます。この老化ができるだけゆるやかになるように、アンチエイジングに心がけて錆びないからだを維持することは、血管の老化防止につながります。
3.ストレスや過労
常に過度のストレスを抱えて疲労が溜まっていると、緊張状態が続くために血圧は高くなります。うまくストレスを発散してリラックスすることが大事です。
4.睡眠不足
睡眠時間が少ないだけでなく、寝ている時間は長くても眠りの質が良くない場合にも血圧は高くなります。
睡眠時間が5時間のグループと6時間のグループを比較すると、5時間のグループの方が高血圧になる割合が37%も高かったというデータがあります。
高血圧の人の約10%に、睡眠時無呼吸症候群があります。この場合は、降圧薬でなかなか血圧が下がりません。睡眠時無呼吸症候群の治療が必要になってきます。
睡眠時間の不足や睡眠の質の悪さが自律神経の調節を狂わせるので、血圧が高くなるのです。
5.肥満
脂肪細胞が肥大すると、レプチンというホルモンが過剰に分泌されます。このホルモンが交感神経の活動を活発にして、血圧を高くします。
6.喫煙
タバコが血管の老化を促進するだけでなく、慢性の睡眠不足や常に自律神経が興奮した状態を作り出すので血圧が高くなります。
7.運動不足
運動不足で足腰が弱っていると、心臓のポンプ機能や肺の呼吸機能が低下して血圧が高くなりやすいのです。さらに運動不足は肥満の原因にもなるため、血圧を下げるためには優先度の高い項目です。
8.大量のアルコールの摂取
アルコールの種類に関係なく、飲み過ぎはよくありません。アルコールは、血管の収縮を強めて心拍数を上げ、交感神経を興奮させるので血圧が高くなります。
アルコールの排泄と同時に、マグネシウムやカルシウムも一緒に排泄してしまうため、血圧を下げるミネラルが失われます。飲み過ぎは肥満の原因にもなり、塩辛いツマミなどで塩分の取り過ぎも誘発します。
9.便秘
便秘になると、排便のたびに思い切りりきむことが多くなります。この「りきみ」は血圧を非常に高くします。極端な高い血圧と低い血圧を繰り返すことは、血管を傷つけて血管の老化を促進します。
また、便秘の状態では腸内の悪玉菌が増えて自律神経の働きを狂わせるため、血圧のコントロール不良から高血圧になりやすいのです。
10.夕食を食べてすぐに寝る習慣
夕食から就寝までの時間が2時間未満のグループと、3~4時間あけたグループを比較すると、2時間未満のグループの方が、高血圧になる可能性が高いというデータがあります。
それだけじゃない。気をつけたいその他の高血圧2つ
1.白衣高血圧
健康診断や医師の診察の時だけ血圧が高くて、自宅で測る時は正常な場合を「白衣高血圧」といいます。これは、自律神経に問題がある人や精神的に緊張しやすい人に多くみられます。
治療の必要のない高血圧なのですが、やがて本物の高血圧になる可能性が高く、心臓や脳の血管障害や腎臓障害を起こしやすいことがわかっています。油断せずに、定期的に医療機関を受診して経過を見ていく必要があります。
2.仮面高血圧
これとは逆に、血圧を測った時は正常なのですが、測っていない時のほとんどが血圧が高くなっていることが多い「仮面高血圧」というものがまれにあります。
自分でも病院でも高血圧だとはわからないため、治療を受けずに放置されるので非常に危険です。「自分は正常だ」と思っていても、適切な生活改善を意識することが重要です。
正しい血圧の測り方5つのルール
1.二の腕(上腕)で測る
手首や指で測るのは、望ましくありません。家庭用の一般的な自動血圧計で十分ですが、必ず二の腕で測りましょう。
2.座った姿勢で測る
寝たり立ったりせずに、椅子に掛けるなど座った姿勢で測りましょう。座る動作をしてから1~2分安静にしてから測ります。動いた直後は、血圧が高くなります。
3.起床後と就寝前に2度測る
朝は、起床後の薬の内服や食事をする前に測ります。夜は、就寝する1時間前に測りましょう。毎日同じ時間に測ることが重要です。
4.血圧が高い方の腕で測る
右腕と左腕の血圧が違うことがよくあります。実際に両腕で測ってみて、高い方の腕で測るようにしましょう。
5.2回以上測って平均値を記録する
2~3回測って平均値を計算しましょう。1回目の血圧は高くなりやすいので、何回か測ってみることが必要です。
まとめ
ヒトのからだは、常に変化しています。1日の生活のリズムに合わせて、血圧も上がったり下がったりを繰り返しています。
興奮・緊張・運動(動作)・気候・温度・湿度などの変化に伴って、絶えず変動しているのが正常な状態です。しかし、先に挙げた原因で、血圧が高い状態がずっと続いていると、やがて確実に心筋梗塞や脳卒中、腎不全へと進行します。
自覚症状がないままに放置されると、突然死や早死にを招きます。 生活習慣の改善で、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」といわれる高血圧をうまくコントロールしていきましょう。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。