眼の奥がズキズキ痛む…ツラい偏頭痛の原因とは?
偏頭痛の中でも、ズキンズキンと目の奥が痛むという症状のある方もいると思います。
眼の奥が痛むと、目を開けづらくなったり、物が見えづらいといった視覚異常が出たり、痛みでうずくまってしまったり…など、とりわけ辛い症状がでてしまうこともしばしばですね。
こういった目の奥の痛みはなぜ起こるのでしょうか。
偏頭痛の病態生理とは?
偏頭痛の病態生理(病気になった身体機能の詳細な状態)はいまだ明らかにはなってはいません。
しかし、「セロトニンの過剰分泌によるもの」というのが有力な説だと言われています。セロトニンには、ドーパミンやアドレナリンのバランスを調整する作用があり、精神を安定させる働きがあります。
環境や人間関係、月経周期、食生活や睡眠不足などのうちいずれかが原因となり体にストレスがかかると、脳から興奮物質であるドーパミンやアドレナリンといったホルモンが分泌され血管が拡張します。
すると、体は拡張した血管をもとに戻そうとセロトニンを分泌させ血管を収縮させます。しかし脳内のセロトニンの量はもともと少ないとされているため、一気にセロトニンが分泌されると、今度は逆にセロトニンが不足してしまいます。
そしてセロトニンが不足すると、収縮されていた血管が一気に拡張し血流はアップします。拡張した血管は炎症を起こしたり、近くの神経を刺激したりしてしまうため、その結果として頭痛を引き起こすと言われています。
セロトニンには精神安定の作用もあるため、正常な分泌量がキープできていれば、普段降りかかるストレスにも強くいられる「鎮静作用」がありますが、一気に放出されてしまうと頭痛の原因にもなるようです。
目の奥が痛む原因とは?
前述の病態生理からとらえると、目の周りに激しい痛みを伴ったり、目をえぐられたような痛みや「目の奥が痛む」症状とは一体どのような現象なのでしょうか。以下に解説していきます。
まず、目の奥にある神経の近くに、内頚動脈という脳の中の太い血管があります。その内頚動脈の近くには三叉神経という、顔や目の周りなどに分布する大切な神経があります。
この内頚動脈が何らかの原因で拡張すると、目の奥の神経や三叉神経を刺激することになり、「目の奥が痛む」という症状が引き起こされると考えられています。
出典:http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/
脳の血管が拡張する作用はなにも内頚動脈に限りませんが、一般に内頚動脈は目に近いところにある血管としては太い血管であるし、三叉神経も解剖学からすると目の奥の近いところにあります。したがって、ケースとしてはこれが最も一般的に考えられるパターンだと思われます。
三叉神経痛は軽いものでは、冷たい水を飲んだり、歯が染みたり、髭剃りといったような刺激でも激しい痛みが起こることはありますが、一瞬の痛みのことが多いです。
また、脳の器質的な問題として脳腫瘍や動脈瘤などでも痛みが出ることはありますが、こちらは一般的に痛みの持続期間は5~10分程度とされていますので、偏頭痛によるものは持続期間が長いのが特徴です。
偏頭痛の中に分類される群発性頭痛の場合は、痛いほうの眼から涙が出たり、鼻水が出たり、持続期間が長く、一旦治まっても期間をおいてまた頭痛が出る場合があります。三叉神経の痛みと似ているため、区別が難しいところですね。
また、緑内障で眼圧が急激に上がると目の奥が痛む症状は出ますし、副鼻腔炎などの鼻の病気でも痛みが出る場合があります。
さいごに
「目の奥が痛む」症状には個人差はありますが、人によってはうずくまるほどの激しい痛みを伴う場合もあり、本当につらいですよね。偏頭痛の対処法は人それぞれですが、まずは静かな場所で部屋を暗くして目を閉じた状態でしばらく安静にするなどが良い方法かと思います。
痛みの原因がはっきりせず痛みが長く続く場合には、一度検査をして自分の痛みの原因を知って対処するのがおすすめです。
なんとなくつらいまま放っておかずに、偏頭痛と向き合い対処していきましょうね。
あなたの今日がほんの少しストレスフリーに近づくことを願って。